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外食産業で外国人労働者を雇用する際の注意点

2020年春頃のコロナ危機以前から、日本の外食産業は人手不足と言われてきていました。その後、約3年にわたってコロナ危機が続き、緊急事態宣言の間には、外食産業は休業をやむなくさせられるなど、別の大きな課題に向き合ってきました。

最近になって、外食についても、需要が回復する中で、再び人手不足の問題が、徐々に浮かびあがってきています。

そのような状況の中で、外食産業から注目されているのが、外国人労働者の雇用です。外国人を採用する際にどのようなことを注意する必要があるのか、などについて見ていきたいと思います。

現在の日本の外食産業の特徴

深刻な人材不足

2022年10月に調査機関の帝国データバンクは、「人手不足に対する企業の動向調査」を発表しました。その調査では、業種別で「飲食店」は、正社員について64.9%、非正社員について76.3%人手不足を感じているということです。特に非正社員では、「飲食店」の人手不足が目立ち、全業種でも一番の割合となっています。

積極的なアルバイト採用

外食業界においては、多数のシフト勤務をする非正社員で賄うということが一般的であるため、積極的にアルバイト採用を行っているケースが多いかとおもいます。しかし近年は、働く環境・法整備等の影響等からアルバイト人材も採用することが困難な状況になっています。

人件費のコスト転嫁が困難

 このように、最近では、外食産業では必要な人手を確保することが非常に困難な状況に陥っています。当然、人手確保の需給の関係から、それでも人手を確保するためには、正社員や非正社員に対する報酬をアップさせる必要があります。これは、会社としての人件費のアップに直接的に影響を及ぼすことになります。

 しかし、一方で、日本の家計の収入は、ここ数十年間増えていないと言われており、この人件費のコストアップを商品の価格に転嫁することも難しい状況が続いています。

 さらに、全体的に外国からの輸入品やエネルギー価格が上昇していることにより、材料費や電気代などの外食産業の他の原価も上がっていることから、外食産業の経営は厳しくなってきています。

 このような状況から、より安い人手の確保が外食産業の重要な課題となっています。

外食産業で注目される外国人労働者採用

 そこで、最近特に注目されているのが、外国人労働者の非正社員としての採用です。しかし、外国人労働者を採用する場合には、外国人労働者を雇用すること特有の事柄についてよく理解しておく必要があります。ここまでは主に特定技能制度を利用して外国人雇用を行う場合の注意点について触れていきます。

外食業界における外国人雇用の方法・注意点

外食産業では外国人労働者の採用による人手不足の解消が期待されています。これまでも、既に日本に居住している外国人留学生や家族滞在の外国人が外食産業で働いて、飲食業の人手不足解消に貢献をしてきました。

 また、2019年の入管法改正により、外食業も特定産業分野に指定されたことにより、特定技能制度での外国人の受け入れも始まっていました。

 コロナ危機の以降、外食産業はさらに多くの人手不足に陥ることが見込まれており、これを特定技能制度による外国人労働者で賄うことができないか、ということが期待されています。

 外食業界で外国人を雇用するためには、その方法と注意点をよく理解しておく必要があります。

ここからは、特にその方法と注意点の理解が必要となる特定技能「外食」における業務内容・雇用形態について見ていきたいと思います。

特定技能「外食」における業務内容・雇用形態について

特定技能「外食」によって日本の外食産業で働こうとする外国人労働者に求められる要件は次のとおりです。

 

① 18歳以上の男女であること

② 外食業技能測定試験に合格すること

③ 「日本語能力試験(JLPT)N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格していること

 

 次に、特定技能「外食」で外国人労働者が働くことができる業務内容は次のとおり定められています。

 

● 飲食店、持ち帰り飲食サービス業、配達飲食サービス業、給食事業等の飲食サービス業を行っている事業所に就労させること

① 客(※)の注文に応じ調理した飲食料品,その他の飲食料品をその場で飲食させる飲食サービス業(例:食堂,レストラン,料理店等の飲食店,喫茶店等)

② 飲食することを目的とした設備を事業所内に有さず,客の注文に応じ調理した飲食料品を提供する持ち帰り飲食サービス業(例:持ち帰り専門店等)

③ 客の注文に応じ,事業所内で調理した飲食料品を客の求める場所に届ける配達飲食サービス業(例:仕出し料理・弁当屋,宅配専門店,配食サービス事業所等)

④ 客の求める場所において調理した飲食料品の提供を行う飲食サービス業(例:ケータリングサービス店,給食事業所等)

 

 特定技能「外食」で働く外国人は、直接雇用のみが認められており、派遣での雇用は認められていません。また、報酬は基本的に日本人労働者と同等としなければなりません。

特定技能「外食」を受け入れるための企業の要件

 ここまでは、特定技能「外食」で働く側の外国人労働者に必要とされる要件を見てきました。一方で、特定技能「外食」で外国人労働者を雇用する企業の側にも求められる要件があります。

ここからは、特定技能「外食」で外国人労働者を雇用する企業に求められる要件を見ていきたいと思います。

一般的な特定技能受け入れの要件

 特定技能「外食」で外国人労働者を受け入れる企業に求められる一般的な要件は次のようなものです。

 

a.受入れ機関自体が満たすべき基準

1. 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること

2. 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと

3. 1年以内に行方不明者を発生させていないこと

4. 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと

5. 特定技能外国人の活動内容に関わる文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと

6. 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと

7. 受入れ機関が保証金の徴収等を定める契約等を締結していないこと

8. 支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させないこと

9. 労働者派遣をする場合には,派遣先が上記1から4の各基準を満たすこと(特定技能「外食」の場合は直接雇用に限られているので、この項目は適用除外)

10. 労働保険関係の成立の届出等を講じていること

11. 雇用契約を継続して履行できる体制が適切に整備されていること(財政状況など)

12. 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと(金融庁が銀行へ通達も)

13. 分野に特有の基準に適合すること

 

b.外国人の支援(登録支援機関に全部委託する場合は満たすものとする)

以下のいずれかに該当すること

ア 過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績がある、留学生、かつ、役職員の中から支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上・支援責任者および支援担当者は兼務可能)を選任していること

イ 役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有する者の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること(兼務可・1人でも良い)

ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者(上場企業など)で、役職員の中から支援責任者及び支援担当者を選任していること

1. 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を確保していること

2. 支援状況に関わる文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと

3. 支援責任者又は支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと

4. 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと

5. 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することのできる体制を有していること

6. 分野に特有の基準に適合すること

「a.受入れ機関自体が満たすべき基準」については、受け入れる企業がこれらの要件を満たす必要があります。一方で、「b.外国人の支援」については、登録支援機関に全部委託する場合は満たすものとされます。

食品産業特定技能協議会への加入

特定技能「外食」で外国人労働者を受け入れようとする企業は、「食品産業特定技能協議会」へ加入する必要があります。協議会への入会申請は、1人目の1号特定技能外国人材の在留資格が許可された日から4か月以内に行わなければなりません。

「食品産業特定技能協議会」は「飲食料品製造業分野及び外食業分野における制度の適切な運用を図る」ため、2019年3月29日設置され、「構成員の連携の緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応等を行う」ことを目的としています。

その活動内容は次のようなものです。

● 特定技能外国人の受入れにかかわる制度の趣旨や優良事例の周知

● 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発

● 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析

● 地域別の人手不足の状況把握・分析

● 人手不足状況、受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(特定地域への過度な集中が認められる場合の構成員に対する必要な要請等を含む)

● 受入れ機関の外国人労働者引き抜き防止の申し合わせ

● 受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議等 等

特定技能「外食」を受け入れ不可能な職種・業務について

特定技能「飲食」で雇用される外国人労働者は、ほぼ日本人と同様の条件で、飲食店で働くことができます。しかし、特定技能「外食」では働くことが認められていない職種・業務もあります。これらについて、見ていきたいと思います。

「接待飲食等営業」での就労

特定技能「飲食」で雇用される外国人労働者は、風俗営業法に規定されている「接待飲食等営業」を営む営業所における就労を行うことはできません。すなわち、特定技能「飲食」で雇用される外国人労働者は、スナックやキャバレーなどでの接待業務を行うことはできないということです。

「接待」と行う業務内容

スナックやバー、キャバレーなどの風俗営業法に規定されている「接待飲食等営業」を営む営業所以外の通常の外食産業であっても、特定技能「飲食」で雇用される外国人は、風俗営業法に規定されている「接待」業務を行うことはできません。具体的には、歓楽的雰囲気で客をもてなす行為自体を行うことが禁止されています。例えば、バーがあるカフェや喫茶店の場合、客のグラスにお酒を注いであげるなどの行為は接待行為とされるので禁止されているということです。

在留資格と業務の関係や要件などは専門家にご相談ください

本記事では、飲食業界における外国人雇用の注意点を解説しました。初めて外国人を受け入れる場合は、体制構築や環境づくりなどに不安を感じることが多いため、まずは外部の専門家に相談することをおすすめします。

さむらい行政書士法人では、飲食業界における外国人雇用についてトータル的にサポートしております。外国人雇用の流れや必要な準備、管理・育成など、どのような実務でもサポートいたします。

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