政府はあらゆる産業の人材不足を解消するために、外国人材の積極的な活用を推進しています。その取り組みの1つが2019年に創設した「特定技能制度」です。業界別に設けられており、建設業においては「建設」に該当するものを取得する必要があります。
本記事では、特定技能の「建設」の試験制度について、試験の概要や申し込み方法、開催場所、学習方法などについて詳しく解説します。建設業において特定技能外国人の採用を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
特定技能「建設」とは
特定技能における「建設」を取得した外国人材は、建設業に従事できるようになります。建設分野の特定技能1号は、19個の区分に分かれていたのですが、現在は次の3つの新区分に再編されています。
・土木
・建築
・ライフライン・設備
特定技能外国人が従事できる業務が拡大したことで、以前よりも増して即戦力の外国人材の採用が容易になりました。
特定技能「建設」の取得要件
特定技能「建設」と言えば、一般的に特定技能1号を指します。これは、特定技能2号を取得するには1号から移項するしか方法がないためです。特定技能1号を取得するには、次の試験に合格する必要があります。
・建設分野特定技能1号評価試験
・国際交流基金日本語基礎テスト
・日本語能力試験(N4以上)
特定技能試験の受験資格
特定技能1号を取得するために合格しなければならない「建設分野特定技能1号評価試験」は、試験日に満17歳以上で、在留資格を持っていれば受験できます。
国際交流基金日本語基礎テストの受験資格は、日本語を母国語としておらず、試験日に在留資格を持っていることです。日本語能力試験については受験資格の制限がないため、年齢や国籍を問わず受けることができます。
特定技能資格試験の免除要件
入国2~3年目に受ける2号技能実習を良好に修了した場合は、建設分野特定技能1号評価試験の受験が免除されます。また、「国際交流基金日本語基礎テスト」「日本語能力試験(N4以上)」においても、2号技能実習を修了した場合は、日本での生活が長いことである程度の日常会話が可能とみなされるため、これらの試験を受ける必要はありません。
特定技能「建設」の試験内容
特定技能「建設」を取得するために合格が必要な3つの試験について、概要や申し込み方法などを詳しく解説します。
建設分野特定技能1号評価試験
建設分野特定技能1号評価試験は、一般社団法人 建設技能人材機構が実施する特定技能1号「建設」の取得に必要な試験です。学科試験と実技試験があります。
学科試験 |
実技試験 ※()内は新区分の土木・建築・ライフライン・設備の場合 |
|
---|---|---|
問題数 |
30問 |
職種毎に定める(20問) |
試験時間 |
60分 |
職種毎に定める(40分) |
出題形式 |
真偽法(○×)および2~4択式 |
真偽法(○×)および2~4択式 |
実施方法 |
CBT方式 CBT操作体験版 |
作業試験、判断試験等から職種毎に定める(CBT方式) |
合格基準 |
合計点の65%以上 |
職種毎に定める(合計点の65%以上) |
出典:一般社団法人建設技能人材機構「建設分野特定技能1号評価試験情報と申込み」
開催場所は東京都、千葉、福岡、広島、愛知、北海道、宮城などで、例年3~7月に行われます。ただし、開催場所や開催日は毎年異なるため、必ず公式ホームページでチェックしましょう。
申し込みの流れは次のとおりです。
・マイページ登録および試験申し込み専用アプリをインストール
・受験を申し込む
・申し込み内容の確認および受験票の発行
・試験を受ける
・合否判定
・合格証が本人へ送られてくる
・試験結果が公開される
国際交流基金日本語基礎テスト
国際交流基金日本語基礎テストは、国際交流基金が実施する日本語能力水準を図るための試験です。
問題数 |
約50問 |
---|---|
試験時間 |
60分 |
出題形式 |
真偽法(○×)および2~4択式 |
実施方法 |
CBT方式 |
国内外の多くの国と地域で受験できます。申し込みの流れは次のとおりです。
・予約ウェブサイトにプロメトリックIDでログイン
・希望するテスト日時・開始時刻を選択
・オンライン決済で受講料を支払う
・テストを受ける
受験後5営業日以内に、予約ウェブサイト上で試験結果がわかる通知書が発行されます。
日本語能力試験(N4以上)
日本語能力試験は、やさしい順にN1~N5までのレベルに分かれています。特定技能「建設」を取得するには、N4以上の試験への合格が必要です。マークシート敷きで、言語知識や分包、読解、聴解などの問題が出題されます。N4の試験時間は次のとおりです。
言語知識(文字・語彙)……25分
言語知識(文法・読解)……55分
聴解……35分
開催場所は日本全国47都道府県と、世界中の国・地域です。申し込みの流れは次のとおりです。
- MyJLPTへ登録する
- MyJLPTIDを取得する
- MyJLPTにログインする
- 受験を申し込む
- 受験料を支払う
- 試験を受ける
建設分野特定技能1号評価試験の合格に向けた学習方法
建設分野特定技能1号評価試験の学習では、主催する一般社団法人建設技能人材機構が公開している学科テキストや学科サンプル問題、実技テキストなどを利用するとよいでしょう。実際の問題を解きながら知識を蓄積できるため、手探りで勉強するよりも効率的です。
参考:一般社団法人建設技能人材機構「建設分野特定技能1号評価試験情報と申込み」
まとめ
本記事では、特定技能「建設」の取得に必要な条件、試験概要、申し込み方法、学習方法などについて解説しました。特定技能外国人の採用を検討している方は、これらを踏まえて受け入れの準備を進めましょう。
なお、特定技能「建設」を取得するには、試験合格後に「地方出入国在留管理局」にて、就労ビザ(在留ビザ)の申請が必要です。提出書類が他の在留資格と比べて多いため、定めた期限までに間に合わなかったり書き方に迷ったりする場合は、速やかに専門機関へ相談することをおすすめします。
さむらい行政書士法人では、建設業界における特定技能外国人の受け入れに関する相談から各種手続き、実務支援までワンストップでサポートしております。建設業の外国人人材の採用を目指している方は、ぜひ一度ご相談ください。